「マルコと銀河竜」感想と考察(ネタバレ有り)
おはようございます。夢二と申します。
2020年2月28日をもって発売されたTOKYOTOON「マルコと銀河竜」を先日クリアしました。この記事ではまずはその感想。ただの個人的な感想なので、その辺よろしくお願いします。それと考察......というほどのものでもありませんが、複雑な表現、抽象的な表現も多い作品なので軽く情報を整理していきたいと思います。
ネタバレ有りの記事です! ご注意ください。
感想
シナリオについて
はと氏のシナリオですね。私ははとさんが大好きです。相変わらずというか、はとワールド全開の展開でめちゃくちゃ面白かったです。血が滾るような熱い展開、心にしみる泣ける展開......。
私は度々セリフに登場する口上やポエムに胸を打たれました。
口上は熱い! ハクアさんの「......白夜に染まれ」とか、ガルグイユさんの「ドゥーベ、メラク、フェクダを通り......」とかですね。私は厨二病を患っているので、もうたまりません。
ポエムは(うーん、ポエムって詩的な表現をバカにする意図でよく使われるので誤解を招きそうですが)どれも美しくて、はと氏の世界観が表れているような気がします。
紫色の夕べ くがねのごとく輝いた山 百合の花にそまったあけぼの 紺碧に反り立つ朝日の丘
「希望は虚しいだけかね」
「愛が増えるのなら、その分希望を灯しましょう」
あと、彼の作品にはよく宇宙人が出てきますね(笑)ユニコーン!
私の一番好きなシーンは中盤(体験版のラスト)にあります。ハクアがマルコからトカゲ石を奪いエル様と合流、しかしそこに手を組んだドスゴロ&ガルグイユが現れハクアは絶体絶命! そこに追ってきたマルコがやってきて全員集合ってところですね。
熱すぎませんか? しかもOP流れますからね。大好き。全員集合とOPってオタクのDNAに刻み込まれてますよね。
ドスゴロのマルコに対する「その技はオレ様が教えたんだぞぉぉぉ!!」というセリフで心から憎みあっているわけではない二人の関係性が垣間見えるのもイイですね。今まで交わりのなかったドスゴロとエル・スケルトンが対峙するのも興奮する展開でしょう。
「ろくでもねぇヘビに付き従う哀れな野郎どもが」
ドスゴロめちゃくちゃカッコいいな......。
しかし、正直少し物足りなかったかも......感は否めませんね。贅沢な感想だというのは十分理解していますが......。
今回ジャンルがカートゥーンアドベンチャーということで、個別ルートがないことによる影響が顕著でしょうか。それぞれのキャラクターがとても魅力的なんですが、あくまでマルコを中心として話が進んでいきます。
過去作の影響で、個別ルートのあるギャルゲと比較してしまう、もしくはギャルゲに期待するものを抱いてこのゲームをプレイした人が多いと思います。私もその一人でした。
そうすると、やっぱりちょっとだけ物足りないんですよね。単純にボリューム(所要プレイ時間)の影響もあるかもしれませんが。
個別ルートがあると、別々の世界線に分けてそれぞれのキャラクターについて掘り下げることができます。しかもノベルゲームは文章主体なので、かなり具体的に心情を描写できます。しかし、このゲームはストーリーを中心に、基本的に第三者視点で特急で話が進んでいくのであんまりそれがない。
「はと氏のシナリオはいつもそうだろ!」と言われればその通りです。テンポの良さは彼のシナリオの特徴で長所だと思います。
しかし、今作はどうしても、クリアし終えたとき少し満ち足りない気持ちが自分の中にありました。例えばラッカ・イセザキの喜怒哀楽の話や、彼女(そしてテラ・イセザキ)の母親についての謎、淡々とミュータントの駆除を続ける黒崎鷹緒の持っている世界観について、もっと知りたかったんですよね。
今までのノベルゲームの、個別ルート制と立ち絵+文章を主体としたゲーム制(ときに紙芝居ゲーと揶揄される退屈さ)によって(私には)良い塩梅になっていたのかもしれません。
このゲームは「カートゥーンアドベンチャー」なので、鑑賞の仕方を改める必要があるような気もしますし、このクオリティのイラストやアニメーションとの関係で一々具体的に何かを描くというのはかなり厳しいだろうとは思いますけどね。
アニメや映画と近いのかな。このゲームは一般的なノベルゲームより受動的、だと思います。「受動的」ってなんだか貶しているようでいやな響きですが......。そういうつもりではないんですけどね。私はこの作品が大好きですよ!!
イラスト・アニメーションについて
これはもう最高という他ないでしょう!! 大空樹さんのイラストはほんとにめちゃくちゃかわいくて、皆の個性が溢れていて......。
特にデザインが良いですね。こんなに凝ったデザインは久々に見ました。私服! 皆の私服滅茶苦茶かわいくないですか? 遊子さんとテラさんの私服が私は特に好きです。桜子ちゃんが茶髪に金のインナーカラー入れてるのもお洒落よね。ピーマン食べられない桜子ちゃんかわいい。
一番好きなキャラクターはやっぱりマルコちゃんです! マジでかわいい。そしてかっこいい。ラヴによる作られた記憶ですが、マルコちゃんの浴衣姿が狂おしいほどかわいくて......かわいい......おじさんミュータントになっちゃう.....。
ちなみにその次に好きなのはドスゴロです(笑)
一番好きなCGはアルコがマルコを抱きしめているCGでしょうか。アルコがアスタロトに敗北した後、喰らった記憶の中のマルコと向き合い話をするシーンで、マルコがアルコを抱きしめるCGがありますが、それと対照的になっているんですね。二人の立場が逆転していて。
一週目では気づかなかったんですけど、二週目で気づいて鳥肌が立ちました。
アニメーションの感想はあんまり上手く言えませんね。なかなか他のノベルゲームでは見かけませんから......。最高という言葉しか出てこなくて(笑)
一番好きなのはTwitter風のヤツですかね。アレ、黒崎さんのタイムラインだったんですけど皆さん見てました? 左上に彼女のプロフィールが乗ってますよ。気づかなかった人は確認してみてください。黒崎さんかわいいな!
音楽について
私はサウンドトラック目的でGalaxyEditionを購入しました。このゲームを購入する決め手になったのは音楽です。それくらいこのゲームの音楽が大好きです。企画・脚本のはとさんが作曲もされる方なので拘っているのしょうか。
まず、斎藤優輝氏によるOPの「飢餓と宝玉」でしょうか。ここまでビビッと来た音楽は数年ぶりかもしれません。毎日聴いてます。リズムが最高。キメが一々かっこいい。ボーカル上のハモリがめちゃくちゃきれい。あと、ギターの音がめちゃくちゃ良くないですか?
はとさんの歌詞も好き。konore氏の歌声が歌詞と良くマッチしてますね。
「神様ってやつの食べ残しなんだファンタジー」
ぽみ氏作編曲の「蒼い星」についても語らないわけにはいかない! はち~がつ~って曲ですね。私はノベルゲームの作中でボーカル曲が入る演出をずっと求めていて、はと氏の作品に出会った時に感動しました。
こんな曲が流れてきたら、泣いてしまう。サビでふわっと入ってくるストリングスの音色が卑怯です。
ボーカルは今角夏織氏。なんて優しい歌声なんだろう。あたたかいこの作品にぴったりだと思います。
BGMもいちいちクオリティが高い! ブルース調のBGMでスライドギター(ボトルネック奏法)が出てきたときはびっくりしました。「09.ゴールドコードブルース」ですね。随分と本格的だなぁと。「11.黒いうねり」ではワウペダルのエグいサウンドが炸裂していてこれも大好きです。そして単純にギターの音が滅茶苦茶カッコいい。
他に好きなBGMは「39.Action」でしょうか。これのジャンルはなんだろう、チップチューン? ロックチップチューン? あんまりよくわからないけど疾走感が凄まじい。ギターの音が......これも斎藤優輝氏の作曲なんでしょうか。別名義で動画サイトに楽曲をアップロードされていたので拝聴しましたが彼は天才ですね。このゲームとは関係ありませんが、「六月の君は。」という曲がメチャクチャカッコいいのでおすすめです。
「38.エルスケルトンのテーマ」なんかもキャッチーで良いですね。
考察と情報整理
とりあえず「10年前」がキーでしょうか。10年前、アスタロトは隣の銀河から地球にやってきました。マルコを連れ去るため(あとついでに金稼ぎのため)ですね。娘のハクアが銀河ラジオから流れてくるマルコのピアノの音色を好んでいたからです。
まあ、当時は現役のトレジャーハンターだったドスゴロがマルコを横取りして育てるんですけどね。
カレンが手塩にかけて10年間どうこうって言ってたんで、ラヴの繁殖もそこからでしょうね。
マルコとアルコについても少し整理しましょう。マルコが母親のことを忘れていたのは、それがマルコにとっては悲しい記憶で、アルコに食べられたからですね。
でも、悲しいことも楽しいことも受け入れて一緒暮らしていくべきだとアルコは気づき、喰らった記憶の中のマルコと話をするのです。
さて、謎を羅列します。私が鈍いだけで判明しているかもしれません。もしそうだったらコメントとか頂けると嬉しいです。
マルコの母親(ミツコ)は結局どうなったのか?
マルコが「最初からどこにもいなかったのに探しちまった」とか言ってたんで、ミツコさんは本当はもう死んでいて、あのミツコさんラヴだったのかなあ? と思ったんですけど、そのあとアルコがミツコのところに行って写真を渡すんですよね。
じゃあ、偽物(ラヴ)がマルコから逃げた果てに場当たり的にミツコさんの姿に化けただけで、ミツコは生きていたのかな?
最後のマルコとミツコさんの息子が話すシーンからして多分そうでしょうね。
そして、もう一つ。彼女はマルコのことを思い出したのかな。昏睡状態のマルコに、ミツコからのV(音声メッセージの記録)を聞かせるシーンではそう見えるんですよね......。よくわからない。
追記・訂正
ミツコさんは生きていて、アルコに渡された写真を見てはっきりとではないがマルコのことを思い出したのでしょうね。
最後のマルコがピアノを弾いているシーンでのセリフからしてもそうでしょう。ミツコさんの姿をしたラヴを倒した直後にマルコが「どこにもいないのに探しちまった」みたいなことを言っていましたね。私はアレが引っかかって「本物のミツコさんは結局生きていたの?」と疑問だったのですが、わかりました。「どこにもいない」っていうのは「本物のミツコさんはもう死んでいた」って意味ではなくて、「マルコのことを覚えている母親はどこにもいない」って意味だったんですね。
そうしてその後、治療中に聞かされたVのなかで、ミツコさんはマルコとの思い出をうっすらと思いだしている、ということでしょう。
なるほど三週目で気づいた。いやー私、鈍いですね......。
ラッカ・イセザキの感情の謎
ラッカは喜怒哀楽が不完全で、悲しいって感情がわからない。「一色しか」「楽しいなーって思うことは出来る」等のセリフからして、楽だけなのかな。だとしたらなんなんでしょう。どうしてこの設定があるのでしょう。これも難しい。
ラッカとテラの母親の死
これも謎ですよね。もう死んでいることは確か。そして最後のシーンで遺産としておもちゃ(娘に向けたものだったのだろうか)を海底に沈めていたことだけが明らかになった。
最後のマルコとアルコの記憶の変遷
ここわかりづらいですよね。アスタロトを倒す前後で結構、何度か記憶が変化していると思うんですけどね......。
多分、アルコは最後にマルコを無事に地球に返すために彼女の自分に関しての記憶を喰らったのかなあ、と思いますが。
アルコがあの恐ろしい姿でいるときにマルコは「あっちゃん!」って呼んでいるんですよねー。でもその後アルコが人間の姿に戻り抱き合うときにはマルコはアルコの名前を忘れている。そこで「私に似た名前」と言っているので、アルコが豹変した時喰らってから段々と記憶が薄れていっていた、という解釈で良いんでしょうか。
情報整理と考察は以上です。「情報整理」ってなんだかわかりづらいので考察としましたが、疑問点の羅列をしたくらいですね。マジの考察を期待していた人には申し訳ないです。
最後に
Postscript 三週目を終えて
はい、おはようございます。三週目のプレイを終えた夢二です。
このゲームは沢山の要素がギュッと詰め込まれているので、三週目でも気づくことが沢山ありました。私が鈍いだけかもしれませんが(笑)
少しだけ書き加えておこうと思います。
まず、ハクアさんがマルコちゃんたちを裏切ったのは、アスタロトが「トカゲ石を渡せば(マルコたちの)命だけは助けてやる」と言っていた(ウルギノスからの伝言)からだったんですね。なんで裏切ったんだろうなーと疑問に思いながらプレイしていた私です。ちょっと鈍すぎますね。
他の言動とも照らし合わせてみると、ハクアさんってアレですよね。ヤンデレですよね、割と。マルコちゃん大好き系女子。
あと、ミツコさんですね。これは考察の方に書き加えておきました。ラヴのせいでちょっとわかりづらいですが......。
そういえば、3週目では泣いてしまいました。今まで疑問だった点もやっと上手く理解し、解釈することができたからでしょうか。
ほんとに良い作品ですね。一度プレイして釈然としない点があった人には是非もう一度プレイしてみてほしいなと思います。それでは。
「マルコと銀河竜」の感想とシナリオについて(ネタバレ無し)
おはようございます。夢二と申します。
2020年、2月28日を以ていよいよ発売された「マルコと銀河竜」を先ほどプレイし終えました。そのシナリオについて、購入を検討中の方(主にエロゲプレイヤー)へ向けてこの記事では少しだけお話します。
注意:個人の感想です! これが全てではありません。様々な捉え方、例外があります。
まず、このゲームは他では見かけない実験的な要素を多く孕んでおり、いろいろな意味で面白い作品だというのは間違いないと思います。だから、お金に余裕があって興味がある人は買って遊んでみてほしい! このゲームが面白い体験になることは、約束します。
さて、本題。巷で賛否両論見かけるシナリオのボリュームについて。クリア所要時間は、やっぱり短いかもしれません。特に、エロゲプレイヤー。その多くは「シナリオが短い!」という感想を持ちます。ここでは、それをもっと分析して紹介していけたらと思います。
あの、このゲームは「物語」としての側面が強いんです。サウンドノベルのエロゲギャルゲの多くはボーイミーツガールの恋模様に焦点を当てているじゃないですか。だからストーリーというよりは人間がメインで、心情の描写が多い。出来事を具体的に描いて、感情の動きを描いて、行動の変化を描いていく。そしたらまた何かが起こって......。
でも、このゲームは違う。あらすじにある通り、宝探しにやってきたマルコの旅のお話で、ストーリーがメインのゲームです。キャラクターそれぞれがとっても魅力的なんですが、だからこそ、エロゲ等ノベルゲームをやり慣れている人は「皆についてもっと知りたい!」と物足りなくなってしまうかもしれません。
エロゲは基本的に一人称視点。主人公の思考のすべてをプレイヤーは知る。恋愛の疑似体験のような側面もあると思います。それに対して、このゲームは基本的に三人称視点で物語を鑑賞するもの。だから、エロゲに求めるものをこのゲームに求めていると「アレ?」となってしまうかもしれません。
アニメか映画かを見る感覚に近いでしょうか。
クオリティの高さは本物です! 圧倒的なCG枚数。大空樹氏のイラストはほんとに素晴らしい。えっちだし。ライターのはと氏の完成が爆発しているシナリオ。我々の価値観を破壊する世界観と常軌を逸したギャグ。魅力的な登場人物たち。私服がオシャレ洒落で死ぬほどかわいい。マジでかわいい。マルコちゃん好きすぎる。音楽のクオリティも驚異的です。その辺りについてはまた別で記事を書きます。
シナリオのボリュームについて賛否両論見かけますが、革新的なこのゲーム。気になっている人には是非プレイしてみてほしいと思います。「フルプライスのギャルゲを買うつもり(ギャルゲに期待するものをこのゲームに持っている状態)でこのゲームを買う」場合にだけ、ちょっと危ういのかもしれませんね。
最後に、私のツイートの引用を。参考になれば。
濃くて魅力的で面白いんだけど、エロゲじゃなくなり個別√が無い、ので別世界線で深く掘り下げられない。ボリュームの話を見かける。もっと薄味なら長さと釣り合ってただろうけど、濃くて魅力的なキャラだからこそ足りなくなるかも
クオリティを考えれば足りないなんてのは酷な話なんだけどね。 美味しくて濃いものはたくさん欲しくなるじゃん。美味しいから良いんだけど、たくさん食べる人はまんぷくにはなれないかもしれない。僕はそんなに食べないから結構まんぷく。